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ダイコン
1kg 97 円
1 円
ニンジン
1kg 219 円
ハクサイ
1kg 76 円
3 円
キャベツ
1kg 77 円
2 円
ホウレンソウ
1kg 813 円
27 円
白ネギ
1kg 373 円
8 円
レタス
1kg 108 円
キュウリ
1kg 311 円
6 円
ナス
1kg 360 円
15 円
トマト
1kg 394 円
13 円
ピーマン
1kg 512 円
ジャガイモ
1kg 103 円
14 円
サトイモ
1kg 580 円
18 円
タマネギ
1kg 114 円
19 円
ハウスミカン
1kg 1026 円
90 円
リンゴ
1kg 544 円
梨
1kg 1025 円
17 円
桃
1kg 984 円
サクランボ
1kg 2335 円
114 円
デラウェア
1kg 1186 円
巨峰
1kg 1797 円
イチゴ
1kg 2491 円
265 円
アールス
1kg 859 円
一般メロン
1kg 557 円
33 円
大玉スイカ
1kg 267 円
小玉スイカ
1kg 326 円
輪菊
1本 73 円
5 円
スプレイ菊
1本 65 円
0 円
小菊
1本 41 円
カーネ(ST)
1本 59 円
カーネ(SP)
1本 57 円
バラ(ST)
1本 63 円
バラ(SP)
1本 70 円
ユリ・オリエンタル
1本 225 円
ユリ・スカシLA
ユリ・テッポウ※
1本 101 円
スターチス
1本 48 円
スターチスHB
1本 62 円
ガーベラ
1本 28 円
4 円
トルコギキョウ
1本 145 円
10 円
宿根カスミソウ
46 円
%4 %
1キロ価格(19日)
163 円
前市比(18日)
前年比
前々年比
平年比
99%
NOPIX値(19日)
青果 173
野菜 164
青果 ▲34
野菜 ▲19
517 円
9 円
32 円
37 円
108%
果実 178
果実 ▲48
1本価格(21日)
68 円
106%
NOPIX値(21日)
62
△3
_本紙1面に掲載する市況情報をいち早く公開します。 ※本紙または電子版の購読者限定サービスです _ _■netアグリ市況とは 日本農業新聞は、野菜、果実、切り花で独自の市況指数を算出しています 各地区大手14卸と連携し、野菜・果実では1キロ平均価格を、切り花では1本当たりの価格を「日農平均価格」として算出。 「今日の相場は上がったのか」「平年と比べて高いのか安いのか」「過去の値動きはどうだったのか」を、グラフや表を使い一目で分かるようにしました。 全国各地の卸の値動きを、取引当日にまとめて確認できます。 _
食品産業の持続化へ、官民や企業間で協調して課題解決を目指すための連携基盤が14日、立ち上がった。環境配慮など単独の事業者では解決が難しい課題に対し、先進事例を発信するなどして一体となって取り組む機運を高める。対応を進める事業者は、取り組みが農畜産物の付加価値向上や、生産者の新たな収入源につながる可能性を示した。 「食料システムサステナビリティ課題解決プラットフォーム」として立ち上げた。農水省が事務局を務め、食品事業者らでつくる食品産業センターが運営を受託する。会員には企業や研究機関、地方公共団体などを幅広く募る。 プラットフォームには、国際的にも対応が求められる「気候変動」「人権」「栄養」をテーマに議論する三つの分科会を設置。食料供給に由来する温室効果ガス排出や、外国人労働者の権利侵害、栄養不良などが課題となる中、意見交換や事例共有をしていく。 同日、食品産業センターが設立イベントを東京都内で開き、先行事例を共有した。豚肉の生産・加工を手がける大商金山牧場(山形県庄内町)は、ふん尿や地域の食品企業から出る野菜くずをバイオガス発電に利用するなどして、再生可能エネルギーで農場を運営。小野木重弥社長は「(豚肉の)差別化にもつなげたい」と話した。 乳業大手の明治ホールディングス(東京都中央区)は、酪農家と連携してふん尿由来の温室効果ガスの発生を減らせる飼料の利用を進める。削減した排出量を売買して酪農家の新たな収入源にしているとした。 (本田恵梨)
全国の米卸のうち年間の売上高が5億円未満の企業は1248社(69%)、うち1億円未満が555社(31%)を占め、中小企業の割合が高いことが、帝国データバンクの調べで分かった。流通の川下となる小規模業者は米の在庫不足に直面しやすく、資金繰り悪化リスクなどが高い業界とみられる。 _在庫不足のリスク高い _ 6月に、同社が持つ企業データベースなどを基に分析した。全国の米卸の数は1822社に上る。売り上げ規模別に見ると、1億~5億円未満が693社(38%)、1億円未満が555社(31%)と多く、中小企業が全体の7割を占めた。一方、500億円以上が6社、100~500億円未満が28社、50~100億円未満が47社と少ない。従業員数別に見ても、従業員5人未満が1153社(63%)となる一方、50人以上は45社(2%)とわずかだった。 米卸の代表者年齢の平均は63・6歳で、全業種平均の60・7歳を約3歳上回った。年齢別では、70代以上と60代がともに32%、50代が23%、50歳未満が12%だった。従業員が少ない企業ほど70代以上の割合が高く、従業員なしが36%、1~5人未満が37%に上る。従業員が少ない企業ほど後継者の確保が難しいとみられ、「事業継続を断念せざるを得ないケースが増加する可能性がある」(同社) 米卸に次ぐ別の事業を展開している割合は76%に上った。業態別では、米穀小売りを兼業しているのが478社(26%)と多かった。元々米穀店だった業者が、事業拡大をする中で米卸になるケースが多いとみられる。肥料・飼料卸が122社、雑穀・豆類卸が101社と続いた。 米の流通が不安定化する中、川下の小規模米卸や米穀店からは「米が十分に行きわたっていない」とした声が相次ぎ、米の受注停止や廃業に踏み切る例が散見される。中小規模の流通業者が地域の米流通に果たす役割は大きく、米流通の早期安定が求められている。 (鈴木雄太)
おいしいのに、食べられるのに、もったいない──。規格外品となり市場流通しない果実は産地での加工の他、廃棄されてしまうことがある。中には少しの傷や変形などで味が変わらないものも多く、有効利用した商品提案が相次いでいる。果実産地を支える一手として、企業が“もったいない”にかける戦略を追った。 _ _ _ _ _ _規格外使い、売り上げで応援 「氷結」好調 シリーズ化 _ キリンビール(東京都中野区)は昨年、規格外の果実を「モッタイナイ果実」としてチューハイの原料に使用し、規格外の有効利用を目指す「氷結mottainaiプロジェクト」を立ち上げた。果実農家の課題解決に貢献したいと始動し、売り上げ1本につき1円を生産者に寄付して応援する仕組みだ。 これまでに横浜のブランド梨「浜なし」、高知県産「ぽんかん」、山形の「尾花沢すいか」の3種が発売されてきた。第1弾の「浜なし」では12トン(約3・4万個)分、第2弾「ぽんかん」では43トン(約31万個)が活用された。産地では寄付を利用し、苗木の購入などに充てたという。 _ _ _(写真提供=キリンビール) _ _ _ 今年6月に第3弾として登場した「尾花沢すいか」は、シリーズで初めて産地発の提案で商品化に至った。生の果実を買ってもらえる循環をつくろうと発売時期を「尾花沢すいか」の出荷シーズン前に設定。JAみちのく村山すいか生産部会の大山功部会長は「魅力が全国に届くことはもちろん、廃棄していたスイカがチューハイとして救われることはありがたい」と語った。発売から約1週間で販売目標数を超える好調ぶりだ。 4月には企業横断の新プロジェクトも始動。27年までに「モッタイナイ果実」を年間250トン削減することなどを目標に掲げる。担当者は「同じ志を持つ企業と協働を広げ、農家支援につなげたい」と力を込める。_ _ _ _ _ _無印良品でも活用進む _ 生活雑貨ブランド「無印良品」を展開する良品計画(東京都文京区)は国産果実を余すことなく使用した菓子を24年から販売する。 今年5月には新シリーズとして「土佐文旦」など果汁を搾った後の果皮を利用した「ソルティピールチップ」を3種発売。中でも「土佐文旦」は、果皮に加えて、廃棄されていた規格外品も使用。規格外品を活用できないかと商品化した事例だ。_ _ _ _(写真提供=良品計画) _ _ _ _気候変動 減産に追い打ち _ 国内での果樹の生産量は1979年度をピークに減少傾向が続き、2023年度は245万トン。13年度と比べると2割減となっている。その上、近年は春先の凍霜害や夏の高温など気候変動が影響。減産に追い打ちをかけており、規格外品の発生リスクも高くなっている。 しかし、消費者庁が20年に行った調査では、「規格外などの農水産物を購入したことがある」と回答した人は約8割に上る。購入理由は「価格が安い」が9割だが、「見た目にはこだわらない」「味が変わらない」なども上位に入る。 規格外果実の消費提案を手がける、フルーツマエストロ協会の近藤卓志専務は「消費者意識は変化し、エシカル(倫理的)という言葉がメニューにつくとZ世代に売れるきっかけになっている」と分析する。一方で、産地側が消費者ニーズや意識の変化に追い付いていない現状を指摘する。「有効利用することで農家の手取り確保につながる利点など、時間をかけ伝えていく必要がある」と訴える。_ _ 果実の規格は、産地がブランドを守るために欠かせない。一方で、丹精した作物が規格に満たないことで廃棄となるのは、農家にとっても本望ではない。ブランド力と農家所得の双方を維持する視点が必要だ。近年、気候変動による生産減少や規格外品増加のリスクは高まっている。企業が商品化に取り組むには、一定のロットで調達する必要があり、規格外品をどのように流通に乗せるかが最大の課題だ。 (菅原裕美)
日本各地に自生し、生薬や和菓子の原料で親しまれてきたヨモギがヒットしそうだ。スイーツや酒類、蒸気で体を温める「ヨモギ蒸し」など用途が幅広く、高まる需要に供給が追い付いていない。国内では自生ヨモギの採取に加え、休耕田での栽培も始まった。取引単価も上昇しており、供給体制が整えば、国産の伸びしろは大きい。 _ _ _ _ _ _健康・美容 伸びる需要 国産供給追いつかず _ ヨモギはキク科の多年草で、日本各地に自生する。香りと鮮やかな緑色が特徴で、食用では粉状にして、草餅や草団子などの和菓子の材料として使われてきたが、近年の需要はそれにとどまらない。健康食品の製造販売などを手がける越後薬草(新潟県上越市)が扱うヨモギ商品は、酵素エキスや、ジン・スピリッツなどの酒類、入浴剤などさまざまだ。ヨモギ茶は従来ティーバッグだけだったが、5月にペットボトル「よもぎ茶ん」(350ミリリットル、162円)を発売。手軽に味わえると好評で、担当者は「健康・美容志向の高まりからヨモギ製品の需要は非常に強い」とみる。 パンやスイーツ用の引き合いも強い。ヨモギの製菓材料などを製造・販売する上野忠(大阪市)によるとヨモギの需要は増加傾向で、2024年度の同社の出荷量は直近5年で最多。しかし、国産の生産は減少傾向で、国内で主に使われるのは中国産だ。同社は、製品加工に必要な量を確保するため、中国の自社工場付近でヨモギを栽培する。上野晃富史相談役は「国産は安定的な採り手と収量の確保が課題」と指摘する。_ _ ___ _ _新潟のJAで生産量1.4倍 単価も6割アップ、「地域の副産物」に _ 生産量確保に取り組んでいるのが新潟県のJAえちご上越だ。管内は古くから笹(ささ)団子などヨモギを使った食品やおきゅう用のモグサを生産してきた。JA直営のモグサの加工施設もある。 高齢化で出荷量の維持が課題だったが、21年度から休耕田を利用した栽培を始めた。県上越農業普及指導センターと連携して省力的な栽培方法を確立。生産者やメーカー、JAを交えた意見交換会や新規出荷者向け説明会を開き、地域で生産を拡大している。20年度に1・8トンだった出荷量は24年度には4割増の2・6トンに拡大。 単価も徐々に上昇し、24年度は1キロ当たり平均833・9円と、20年度の510円から6割増だ。「ヨモギの出荷が親から子へ代々引き継がれており、換金性の高い地域の副産物として認識されている」(JA営農部販売課)という。 ____ _新潟・滋賀→柔らかく加工向き 沖縄→爽やかな香り 地域ごとに個性豊か _ 各地のヨモギの特徴を明らかにして生産拡大につなげようと、千葉大学環境健康フィールド科学センターは全国170カ所以上から採取したヨモギを栽培する。優良なものを選抜・育種し、全国40カ所以上の産地に試験栽培・生産を委託する。種類によって葉の形や香り、機能性など違いがあり、例えば新潟・滋賀県などで取れるヨモギは葉が大きくて柔らかく、裏に毛がたくさん生えモグサの加工に向く。沖縄県では、苦味が少なく爽やかな香りが特徴の「ニシヨモギ」が沖縄そばなどの料理に使われている。 渡辺均教授は「生産者と地元の加工業者や菓子メーカーなどが組むことで地域ブランド化でき、農家の副収入の一つになり得る」と展望。土づくりを行った上で耕作放棄地などを活用することが有望とみる。水耕栽培などを活用した安定的な供給システムを築くことも必要だと分析する。 _ _ _全国各地のヨモギの特徴を研究する千葉大学の渡辺教授(千葉県柏市で) _ _ _ _ 栄養素が豊富で幅広い製品に加工できるヨモギは、国内外で需要を広げる抹茶に通じるものがある。ただ、日本各地に自生する野草なだけに、「収益につながる農産物」と認識されていない例が多い。千葉大学の研究は、地域固有のヨモギの特徴を明らかにする内容で意義深い。採り手が減り、国産が不足するが、産官学が連携して安定供給できる仕組みを整えれば、旺盛な需要に応えられる。農家の新たな収入源になる有望な品目だ。 (冨士ひとみ)
米の価格形成の仕組みや価格安定に必要な策について、米流通に詳しい三菱総合研究所の稲垣公雄氏に聞いた。 ◇ 政府備蓄米の放出を受けて、スーパーの米売り場では銘柄米、入札米、随時契約米で価格が3極化した。ただ、備蓄米には限りがあり、一過性の状況だと留意すべきだ。 そもそも米には多様な産地品種銘柄があり、栽培方法なども幅広い。従来、米には価格差があり、価格帯が多層化するのは特別なことではない。ただ、米価急騰を受け、直近では多様な米を「主食としての米」と同一視する向きが強まっており、安価な米から売れていく傾向が続く。 米は安いからといって消費量が増えにくいが、高くても替えが効きにくい。そのため少しの供給不足が極端な価格高騰につながりやすい。キャベツは白菜で代用する手もあるが、主食は習慣性が高く、毎晩のご飯をパンに切り替えることは考えにくい。米価が急騰しても多くの消費者は買うしかなかった。 一方で、国産米の価格の天井も見えてきた。5キロ4000円の水準が続くと、5キロ3500円ほどの輸入米が入ってきてしまう。輸入米の価格を上回らないような米価を目指す必要がある。 米価の安定を目指すためには、生産量に余裕を持たせることが重要だ。既に2025年産米も酷暑で収量減が懸念される。増産による需給緩和で米価が下落した場合に国がどう対策するのかを明確にし、農家に対して「思い切った増産に取り組んでほしい」とした姿勢を示すべきだ。 米価下落対策としては、収入保険の水準引き上げや、国が備蓄米として買い上げる手法がある。まずは短期的な米価安定に注力し、直接支払いにシフトするのか、方向性を具体化するべきだろう。 (聞き手・鈴木雄太) 1966年滋賀県生まれ。京都大学卒。90年三菱総合研究所入社。関西センター長などを経て、2024年より研究理事・食農分野連携担当本部長。
JA全農長野は、出荷最盛期に合わせて県産レタスの販促を強化している。7月2日の「夏の長野県産レタスの日」に向けて、全国のスーパー店頭での企画やレシピコンテストなどを開催。大手コンビニともタイアップしたパッケージサラダ商品の販売を実施する。 「夏の長野県産レタスの日」は、全農長野が2024年に日本記念日協会に登録した物日。県産レタスの出荷最盛期で気温上昇に伴いサラダ消費も増える時期の販売を盛り上げようと、「な(7)つ(2)」の語呂合わせで制定した。 制定2年目となる今年は物日に向けて前年より期間・規模を拡大。6月中旬から7月2日当日を含む週にかけては、全国300店舗以上のスーパーでレタスを使った料理の試食宣伝など活用したPRを実施。今年度新たに作ったレタスうちわの配布もして、「夏の長野県産レタスの日」の認知度向上も目指す。 個人外食店を対象としたレシピコンテストも開催する。三菱食品の個人外食店向け食材配送サービス「リクエ」の7月号のカタログの中で、レタス1玉を丸ごと使い切れることをテーマにレシピを募集。31日まで。 ファミリーマートとのタイアップでは、パッケージサラダ「長野県産高原レタスを使ったレタスミックス」を1日から売り込む。県産の結球レタス、サニーレタス、グリーンリーフの3種類のレタスを使用した商品で、東北から九州までの約1万1500店舗で8月上旬まで販売する。 全農長野は「多くの人に『夏の長野県産レタスの日』を知ってもらい、県産レタスを食べてもらいたい」とする。 (永井陵) _ _ _ファミリーマートとタイアップした、長野産レタスを使ったパッケージサラダ(いずれもJA全農長野提供) _ _
季節の枝物を届ける定期便サイト「シキト」を運営するトリナス(東京都世田谷区)は30日、都内の日本橋にカフェをオープンした。内装に枝物を使ったのが特徴で、同社の佐藤真矢社長は「枝物に興味を持ってもらい、自宅でも飾ってみようという流れをつくりたい」と話す。 店内は四季に合わせて装飾し、現在は自生のドウダンツツジやアセビの他、ブルーベリーなどを生けている。吹き抜けの1階には高さのある枝物を置き、「自然をより感じられ、その大きさからインパクトもある」(佐藤社長)。 千葉店に次ぐ2店舗目は、平日は会社員、休日は観光客や買い物客でにぎわうエリアでの出店となり、枝物を通じて四季のある日本文化や定期便サービスの情報を発信する。「シキト」のユーザーは現在7500に上る。 カフェの座席数は1階34席、2階30席で、食事にも季節の食材を使用する。現在はイチジクやキウイを使ったグラノーラ(税抜き880円)や、赤エビとムール貝のペスカトーレパスタ(ランチ1580円)などを提供する。 (森ちづる) _ _ _「季節のクリームトップすいか」(手前)と、香りのある植物をドリンクにアレンジした「檜ジントニック」(24日、東京都中央区で) _ _
豊作、不作、いかなる時も──。チョーヤ梅酒(大阪府羽曳野市)は、国産梅にこだわった梅酒や梅ジュースを手がける。原料梅の8割以上が和歌山・紀州産の梅「南高」で、全て地元JAから仕入れる。豊作時には調達量を増やし、ひょう害に見舞われた今年のような時は傷が付いた実も仕入れる。梅産地と手を携えるメーカーに迫った。 _ _ _ _ _ _豊作年はたくさん買って ヒット商品誕生のきっかけに _ _ 同社は、梅の加工品で年間約140億円(2024年12月期)を稼ぎ、この10年間で2割増やしている。展開する商品は、1年以上かけて梅を漬け込む「ザ・チョーヤ 熟成一年」や、肉厚な梅「南高」が入った「ザ・チョーヤ 至極の梅」など40に上る。梅と糖類、酒類のみを原料とした無添加の梅酒は、日本洋酒酒造組合が定める「本格梅酒」となり、同社の梅酒の9割以上が「本格梅酒」に該当する。 商品の中でトップクラスの売上高を誇る商品は、ノンアルコール梅酒「酔わないウメッシュ」。豊作年に農家の収入確保のため、多めに仕入れた梅から生まれたヒット商品だという。 開発したのは、10年。豊作が続いた05~08年ごろ、梅の貯蔵タンクに余裕がなくなってきたため、梅を凍結保存したことがきっかけだ。梅は凍結させることで濃い果汁を抽出できることにたどり着いた。希望小売価格142円(税別)と比較的安価でありながら、今では販売の柱となる。 _多角展開するチョーヤ _ 同社の事業は多角的だ。19年に東京・銀座に、梅酒カクテル専門店「The CHOYA 銀座BAR」を開店させた。ロックやソーダ割りなど主要な飲み方に加えて、本格梅酒「ザ・チョーヤ」を使用した100種類以上のカクテルを開発した。開店当初は順調な滑り出しだったが、コロナ下は販売が苦戦。バー需要の低迷に危機感を抱き、梅酒かき氷や梅酒クリームソーダなど、バーならではの梅酒デザートで商機をつかんだ。今では年間約2万人が来店し、売り上げも好調という。_ _ _ _売り上げを伸ばす梅酒の飲み比べができる(チョーヤ梅酒提供) _ _ _ _ひょう害年は傷果も買って 農家の生産を後押し _ 同社が大切にするのが、原料梅だ。年間計画で約4000~6000トンの国産梅を漬け込むが、その8割以上がJAわかやまの梅「南高」だ。仕入れる梅は、収穫時期に手で取る青梅と、完熟して自然落果するのを待つ完熟梅などがある。 梅の仕入れを担当する有福課長は、「梅は豊作と不作の差が大きく出る農産物」という。豊作年には平年の倍以上仕入れることもあれば、不作年は4000トン以下に抑えることもある。_ _ _ _ _ 近年、国内の梅産地は異常気象により不作に見舞われている。農水省によると、24年産の全国の収穫量は前年比46%減、14年比は53・7%減少し、過去最低の5万1600トンだった。今年は主産地の和歌山で甚大なひょう害が発生し、県内面積の9割で被害を受けた。 _完熟梅を固定で仕入れ _ 同社はひょうなどで傷の付いた梅も仕入れることで、農家の生産を後押し。「傷の付いた梅であっても、熟成した梅酒の味に大きな違いはない」とする。JAわかやま紀南地域本部梅部会の岩見健生部会長は、「ひょう害で、25年産の収入が平年の7割にまで減る見込み。チョーヤ梅酒が完熟梅を固定で仕入れてくれ、確実な収入となり、ありがたい」と堅い信頼関係があった。 _ _ _一つ一つ目で見て品質を確認する紀南総合選果場(和歌山県田辺市で) _ _ _ _ 効率性を優先すれば、食品メーカーは在庫を抱えたくない。原料の農畜産物は必要最小限の仕入れに抑えるほうが経営として望ましいだろう。しかし農家の高齢化や異常気象などが多発する今、それだけで高品質の国産原料を確保できなくなった。企業活動を継続する上で、産地の存在は欠かせない。優良産地と付き合うには、豊作でも、凶作でも支え合う関係性が必要だ。メーカーと産地は運命共同体と思える。 (廣田泉)
6月30日は「夏越ごはん」――。米穀機構が提唱する夏の行事食「夏越ごはん」が今年で11年目を迎え、中食や外食で広がりを見せている。提供店舗数は関東を中心に500店舗近くなる見込みで、カレーなどにアレンジする動きも出ている。夏の米消費拡大へ、注目度を高めている。 「夏越ごはん」は、6月30日に残り半年の無病息災を祈る神事「夏越のはらえ」にちなんだ行事食。神事に使う茅(ち)の輪をイメージして夏野菜を丸く調理したものを雑穀ご飯に載せる。米の一大消費イベントに育てようと米穀機構が企画し、11年目を迎える。 米穀機構によると、今年の提供店舗数は、前年実績の477店舗を上回る見込みで、普及に協力する神社も140に増えた。家庭でも楽しんでもらおうと、ウェブ公開するレシピ数も14に拡充した。 テイクアウト需要を捉えようと、スーパーで「夏越ごはん」の提供が広がる。イトーヨーカドーやダイエーが一部店舗で「夏越ごはん」の弁当を提供する他、米卸のミツハシは関東を中心としたスーパー100店舗で、さらに手軽な「夏越ごはんおにぎり」を売り込む。30日まで。 ランチやカフェ、社員食堂、福祉施設などでも「夏越ごはん」の提供店舗数が増加傾向だ。毎年提供している洋食店が今年、カレーにアレンジした新作を開発するなどの広がりも出ている。米穀機構は、米や夏野菜を使った「夏越ごはん」は栄養バランスが良く、「暑い夏を乗り切るメニューとしても好評」とみる。 (鈴木雄太) _ _ _洋食屋が今年の新作として提案する、夏越バターチキンカレー(米穀機構提供) _ _